正道有理のジャンクBOX

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― 他の動物より人間が優れているとすれば、蓄積された知識や経験から自分の行為がもたらす成果や結末を予測し得ることである ―

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行政を私物化する安倍政権を倒そう

 安倍首相の友人が理事長を務める学校法人加計学園が、国家戦略特区で獣医学部を新設する計画について「総理のご意向」を示唆する文書が暴露され、さらにこの疑惑を巡り、文科省の前事務次官・前川喜平氏がこの文書が間違いなく文科省で作られたものであると証言したことによって安倍政権はパニックに陥っている。
 菅官房長官は、なおも「出所の知れない文書」だと言い張る一方で、急遽自民党広報誌=読売新聞にリークし報道させた前川氏のスキャンダル「出会い系バーに出入り」を引き合いに出してみたり、『行政が歪められている』という氏の批判に対しては「なぜ辞める前に言わなかったのか」などと反論とも言えない恨み節を言うなど動揺を隠そうともしなかった。

 ところで、これまでの政治腐敗・汚職と言えば決まって政治家が民間業者への便宜を図り、或いは業者に有利な立法措置を依頼され、見返りに賄賂を受け取るというような図式ができていた。いわゆる「政治とカネ」は政治家個人にとっても、また政権にとっても命取りになるほど、ある意味で有権者(国民)にとって判りやすい綻びとしてあったのだ。

  安倍政権の特異性はカネよりも価値観だということ

 ところが、安倍政権では様相がまったく変わっている。森友学園問題でもそうであるが、政権=安倍晋三の側が特定の個人、法人に対して特段の便宜、利益供与を行ってはいるが(将来的にどうなのかは知る由もないが)差し当たってはその「見返り」のようなものは求めていないことである。

 ここが、政治家の属性は「利権=カネ」と信じてきた凡人にはなかなか本質が見えにくくなっている所以でもあろう。そして、安倍政権の本質はここにあると言ってもよい。

すなわち、安倍政権はすでに従来の(良くいえば国民政党としての)自民党政権ではないということ、日本会議という極右のイデオロギー集団が支配する内閣だということである。
 分かりやすく言えば、中国共産党が支配する中国、金正恩率いる朝鮮労働党が支配する北朝鮮、そしてこちらは日本会議という極右組織が支配する日本。

 ここから見て取れるのは、彼らにとって重要なのはもちろん利権やカネもあるだろうが、それ以上に「価値観」やイデオロギー、あるいは「力の誇示」だということである。これは多分、独裁政権独裁政権を一概にすべて悪だと言うつもりはないし、問題は政治の内容である)の特徴だという事ができると思う。
 団塊世代全共闘運動に関わったことのある老人ならイデオロギーを何にも代え難い「価値観」と信じて疑わなかった時期もあったであろうが、それ以降の世代にはむしろ煩わしいものと感じてきたのかも知れない。しかし、その間隙を縫って左翼勢力や労働運動の衰退に乗じて組織を形成し、地方行政から国家の中枢にまで影響力を拡大してきたのが日本会議であり、今日の安倍政権は日本会議政権なのだ。

  いまや危機の根源は「政治とカネ」ではない

 ここで言いたいのは、いつまでも「政治とカネ」で政治の良し悪しを考えていたら何も見えなくなるということだ。「どういう政治をやろうとしているのか」「政府がどのような価値観をもっているのか」という政治の本質にかかわる問題、思想そのもので判断することが求められているということである。

 さて、では安倍晋三の友人が経営する加計学園獣医学部設置を政府が推し進めたとしても、見返りを求めている訳ではないのなら何ら違法とはいえないし問題はないのではないか。

 それは森友学園問題でも同様で、忖度(そんたく)があったにせよ、それが直ちに違法とは言えないのは事実である。
政府が開き直っているのも、また野党が決定打を出せないのもその論拠を打ち破れないためだ。

内閣総理大臣は、内閣を代表して行政各部を指揮監督するが(憲法第72条)、それは「閣議にかけて決定した方針」に基づいて行われなければならない(内閣法6条)。よって、指揮監督をするには事前に閣議で方針を決定する必要がある。

国家戦略特区は閣議で決定されているから、それを根拠に関係省庁に作業を急がせることそのものは違法ではない。

  ではなぜ「政治によって行政が歪められる」のか

国家公務員法第98条1)  職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

地方公務員法においては、「“重大かつ明白な瑕疵”がある場合を除いて」という救済的な判例もあるのだが、国家公務員法の場合は、そもそも ”重大かつ明白な瑕疵” があるとすれば、それは憲法違反しかないのであるから、その憲法解釈を内閣府が歪めてくる以上は問答無用と言うことにしかならない。

 同じ国家公務員といいながら、特別職である国務大臣等には一般職に適用される国家公務員法の規定は適用されない。したがって、いかに理不尽な命令であっても国務大臣内閣府の命令に異を唱えるのはそれ自身進退をかけなければならないのだ。

 こうした、いかにも非民主的な公務員制度ではあるが、ある意味では今日まで政治家の質の低さを補完し、行政の継続性を保ってこれたのはそれに依拠してきたからとも言えなくはない。そして、それは少なくとも政府が憲法を踏み外してまで行政を私物化することはあり得ないという信頼に支えられてきたからだった。

憲法第15条
 2. すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない

これは一般職、特別職を問わず公務員全般を規定した規範である。(敢えて言えば憲法では選挙で選ばれる公務員と、官吏を分けており、憲法の基本原理として主権者である国民に公務員の任免・罷免の権利が有ることを確認している)

そして、この15条を前提とし、基本精神として

憲法第73条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ
 4. 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること

 とある。

  すべての前提は、政府に憲法を尊重する姿勢があっての話である。だが、今日の安倍政権は憲法の枠をぶち破ることを確信犯的に追求している政権なのだ。そして、内閣府に逆らえない状況を作ったのは、まさに第二次安倍政権が内閣人事局を設置して官僚の人事権を強化した結果に他ならない。 

日本国憲法第99条】 天皇又は摂政及び国務大臣国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

すべての一般職公務員は、公平公正な職務のために、憲法と行政のあり方を損ねるような政府の命令に対しては勇気を持って拒否してほしい。
「政治によって行政が歪められる」という状態を容認すれば、やがてすべての行政が規範を失い国家を牛耳る一部政治家によって独裁体制が作られてしまうのだ。このことをすべての人々が真剣に考えなければならない。

 悍ましいばかりの陰謀組織=内閣調査室

 前川喜平前事務次官の告白によって、昨年末から今年1月の加計学園獣医学部設置をめぐって文科省で何が起きていたのかが見えてきた。

 ① 政府の国家戦略特区諮問会議は2016年11月、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とする」として、当時学部新設を希望していた京都産業大京都市)を排除し、事実上加計学園一校に条件を絞った上で文科省に提示した。しかし、当時前川氏が事務次官を担っていた文科省は学部新設のための4条件を満たす合理的な理由がないとして難色を示した。

 これに対して、「総理のご意向」「官邸トップレベル」の意思と恫喝し、それでもラチがあかないと見るや前川氏を官邸に呼びつけて最後通牒を突きつけた。

② 今年1月4日、内閣府文科省獣医学部新設を「1校に限り」特例で認める告示を共同で出し、事業者公募を開始する。

 ところが、前川氏が示した原案では「1校に限る」という文言は入っていなかった―つまり文科省との合意が未形成のまま内閣府の主導による見切り発車で公募を開始したということだろう。

 文科省内には内閣府と安倍政権への不信感が渦巻いていたに違いない。早期開校を不安に感じた安倍は内調を使って「文科省の違法な天下り」をマスコミにリークした。

 内調は恒常的に政敵や政府に批判的な個人、また政治家や官僚(退職者を含む)の動向・素行を公安警察を含むあらゆる調査網を使って把握しており、内調トップの北村氏は戦前の特高を賛美しており、共謀罪の推進者そのものである。

 政権中枢が必要なときに相手を貶めるための情報をマスコミにリークし世論や野党を誘導する謀略機関なのだ。

  蓮舫問題も仕掛けた? 安倍が重用する“官邸のアイヒマン”北村滋内閣情報官は特高警察を称賛する危険思想の持ち主|LITERA/リテラ

 異例の早さで前川事務次官更迭を決定、その裏に何が? 

朝日新聞デジタル】は1月18日、組織ぐるみの天下り斡旋問題について『文部科学省前高等教育局長の大学への再就職が、出身府省の職員による「天下り」のあっせんを禁じた国家公務員法に違反する疑いがあるとして、内閣府再就職等監視委員会が同省幹部から事情を聴いていることがわかった。

毎日新聞 1月19日】 文部科学省が幹部の再就職を組織的にあっせんした疑いが浮上した問題で、文科省の前川喜平事務次官(62)が責任を取って辞任する意向を固めたことが関係者への取材で分かった。問題を調査している政府の再就職等監視委員会は19日中にも調査結果をまとめ、関与した文科省の幹部職員らの処分を求める方針。官僚の天下りを巡る一連の問題は、事務方トップの事務次官辞任に発展する見通しになった。

   改めてこの記事を読むと再就職あっせん疑惑を調査しているという報道から前川喜平事務次官が更迭されるまで、わずか1日と言う異例の早さに驚く。まだ、予算委員会にも全容が報告されず、ようやく各党が追及を開始したばかりなのに、既に処分が決まっており、さらに幹部職員への追加処分をすると発表したのである。

(菅官房長官の「なぜ在職中に言わなかったのか」なる発言こそは盗人猛々しいと言わねばならない)

 再就職等監視委員会はいうまでもなく内閣府にある。そして、天下りが問題になりそうな省庁は文科省だけではない。いや経産省厚労省に比べれは文科省はむしろ天下り先が少ない方だということは周知の事実である。内閣府と内調はそれらをすべて掌握した上で、文科省への処分を見せしめに、「官邸に逆らったらどうなるかわかっているだろうな!」と恫喝したのだ。

 それだけではなく、野党を駆り立て省の歴代責任者を国会に招致し雁首を並べて謝罪させたのだ。こうしておいて、いまさら「総理のご意向」なる文書はあるか? と聞いて「あります」と答える官僚がいるだろうか。

 拷問の果てに「私がやりました」と答えさせるあの手法と同じではないか。

 こんなおぞましい政権は一刻も早く打ち倒さなければならない。